一度聞いたら、二度と忘れられない名前、スタニスラフスキー。そして、その名を冠したスタニスラフスキー・システム。 演技、演出に関わる業界人で、このややこしい名前を聞いたことがない人などいないだろう。 が、今の時代はスタニスラフスキー・システムを理解し、実践しようとする業界関係者があまりにも少ない。 役者や演出なのにスタニスラフスキー・システムを学ばぬ理由を聞くと、返ってくる答は次のふたつのうち、どれかだ。 「スタニスラフスキー・システムはもう古いor実践的ではない」 「『俳優修行』は読みにくい or 読んだけどわからない or 持っているけど途中で挫折した」 スタニスラフスキーを古いというのなら、なにをもってして新しいというのか。その新しい理論には、スタニスラフスキーに触発された部分が絶対にないのか? そんなことはないはずだ。20世紀に生まれた演劇論、演出論、演技論、俳優教育論