冠婚葬祭。子育て。生業。 そういった処世の術は、祖父母から親へ、親から子へ、子から孫へと単線的に引き継がれていったわけではなかった。きょうだい、おじおば、近所の葬式ばあさん、そういう複線的なラインで下の世代に伝授されていった。 ところが核家族化が進んだ現代では、冠婚葬祭にしても子育てにしても、親から子へ、子から孫へと、単線的にしか受け継がれていかない。生業は学歴というフィルターをとおして継承されるが、これも、核家族の文化資本と学校を経由して継承されるものになり、結局核家族の内側で、おおむね単線的に継承されていく。 思春期の作法、成人期の作法、老人の作法といったものの継承も変わった。地域の生活とライフステージが不可分の関係にあった頃、ライフステージごとの作法は親以外の年長者複数名をロールモデルとし、地域の行事や風習のなかで学び取っていくものだったが、核家族化が進んだことに加えて、きょうだいの