なんておそろしいドラマ……。 戦前・戦後の日本を写し鏡に、現代社会に今なお残る女性差別や女性の生きづらさを照らし出してきた『虎に翼』。当初は女性たちの共感と賛同を集めてきましたが、ここにきて主人公・寅子(伊藤沙莉)に対する意見は真っ二つに割れています。 でも、この反響こそが『虎に翼』による「私たちを生きづらくさせているのはなにか」の一つの思考実験なのでしょう。今このドラマに何が起きているのか。じっくりと考えてみます。 気づけば、寅子の“向こう岸”にいる側になっていた 第13・14週で描かれたのは、「母」という生き方でした。一躍時の人となった寅子は、家事は花江(森田望智)に丸投げ。持てる時間と労力のほぼすべてを仕事に注ぎ込み、娘・優未(竹澤咲子)の表情の曇りに気づくことさえできていない。そんな寅子の母親としての姿勢に非難めいた声がしばしば上がるようになりました。 とは言うものの、現状、佐田・