「自分を表現したい欲求は、誰しもが持っています。そこにつけ込むスキがあるんですよ」 出版不況下にあっても、増収増益を続ける出版社がある。それが、著者が自分の本を出すのに自らお金を出版社に支払う、いわゆる自費出版というビジネスモデルを取り入れているA社だ。そこで営業兼編集をしているのがM・Kさん(47)。見るからに誠実そのものだが、知的そうなメガネの奥の目は、“獲物”を虎視眈々と狙っていた。 ◇ まさに「カモがネギをしょってやってくる」ようなものです。ウチでは、営業といっても新聞やフリーペーパーに「あなたもベストセラー作家になりませんか!?」という広告を掲載するだけです。出版コードを持っているので、トーハンや日販などの「取次ぎ」という本屋さんに本を置くことのできる流通会社と契約しています。 ですからウチは、立派な出版社。ですが、扱うのは「自費出版」の本がほとんどなんで