最近の書店は、本を扱うだけでなく、カフェを併設し、雑貨を扱い、トークイベントを積極的に開催する。それぞれの資金力、アイデア、キャラクターを活かして、続けられる店になるための経営努力をしている。 そうした書店の風景を、快く思わない人もいる。本だけでは利益を確保できない、そもそもあまり売れないという書店の事情はわかるが、肝心の本がたんなるお飾りになってきている、なんのために本を売ってるんだ、まさに本末転倒、というわけだ。 そう思うのはたいてい、本に親しんできた人であろう。書店に見せてほしいのは充実した棚である、本の奥深さを知る店主やスタッフによる気の利いた品揃えである、原点のところをしっかりやってくれ、ということだと思う。 「充実した棚」や「品揃え」だけが書店のチャームポイントだった頃、そのための「経営努力」は見えにくかった。いまは「経営努力」のほうが前面に出ている書店も増えていて、それがある