カルチャー 2009年09月05日 アダルト関係で多くの人々の関心をひく要素のひとつに、性感染症がある。少し前までは”性病”と呼ばれたものを商売のネタにして、巨額の財産を手にした男がいる。医薬品販売会社「有田ドラッグ商会」の経営者、有田音松(1867~1944)である。その生涯や「業績」については、竹村民郎『廃娼運動』(中公新書)や稲垣喜代志「ニセ国士・有田音松伝」(學藝書林『ドキュメント日本人』第9に収録)などに詳しい。 江戸時代最後の年に広島で生まれた有田は、14歳の時に大阪の商家で奉公するようになる。ところが、その年ですでに女遊びを覚え、盛り場をうろつくなど素行の悪さが目に付くようになっていったという。そして、勤め先の商品を勝手に持ち出すなどの不正を繰り返していたことから、ついに商家をクビになる。 金も仕事もなくなった18歳の有田は東京にたどり着くと、政治風刺の歌曲として知られる「オ