震災後に、関東から東北にかけての沿岸で発見された漁船やクルーザーボートなどの「迷い船」は、海上保安庁によると、10日現在で計360隻に上る。 だが、見つかっても所有者の手に移らないのが現状だ。 釜石や宮城などの各海上保安部は3月12日から連日、巡視艇やヘリで沿岸パトロールを続けている。360隻にはいずれも船員がおらず、所有者割り出しにつながる船名や登録番号が船体から確認できたのは236隻。残りは転覆などで確認できなかった。 人命救助を優先し、新たな船発見に力を注ぐため、港まで引航したのは42隻、うち所有者に引き渡せたのは5隻にとどまる。42隻以外は海に漂ったまま。ほかの船舶には危険だが、「安全航行のための注意喚起をするしかない」という。 同庁は、引航した船は所有者に引き渡す方針だが、所有者を捜す作業が追いつかず、分かっても「被災されたのか、連絡が付かない」(総務部)場合もある。 釜石海保は