米紙「ニューヨーク・タイムズ」は安倍元首相の殺害を受けて長い追悼記事を掲載した。その経済政策や外交への評価のほか、とりわけ平和憲法の改正を目指したことに注目している。 自衛隊の「足かせ」を外す 安倍晋三は、日本の戦時中の亡霊を打ち負かすことを政治使命としたが、日本を「普通の」軍事大国に戻すという最終目標には及ばなかった。7月8日、日本の憲政史上最も長く首相を務めた安倍は暗殺された。67歳だった。 安倍は、戦犯容疑をかけられた祖父を含む厳格なナショナリスト政治家一族の御曹司であり、そんな彼には2つの大きな目標があった。戦後、平和主義を貫いてきた日本の軍隊の足かせを外すこと、そして「アベノミクス」で経済を立て直すことだ。 しかし、長い在任期間中、彼はそのいずれも部分的にしか達成できなかった。 2015年、安倍は国民や野党から反対の声が上がるなか、自衛隊が海外で同盟国軍と戦闘任務にあたることを認