先週の日曜に上智大学で「世阿弥とスタニスラフスキー」というテーマのシンポジウムがあった。そこで「能楽と武道」というお題を頂いて短い発表をした。中身は2年前にある能楽専門誌に寄稿した「世阿弥の身体論」とだいたい同じ。 シンポジウムに来られなかった方のためにオリジナルを公開しておく。 文献的根拠のぜんぜんないまったくの私のスペキュレーションであるので、これを「定説」と勘違いして、人前で話したりすると大恥をかくことになるのでご注意されたい。 世阿弥の身体論 平安末期から室町時代にかけて能楽と武芸と鎌倉仏教が完成した。 それらは日本列島でその時期に起きたパラダイムシフトの相異なる三つ相であるという仮説を私にはしばらく前から取り憑かれている。そういうときには「同じ話」をあちこちで角度を変え、切り口を変えながら繰り返すことになる。今回は能楽の専門誌から「世阿弥の身体論」というお題を頂いたことを奇貨とし