多くの先進国で、いわゆるポピュリズム政治が常態となりつつある。国よって差はあるが、右派ポピュリスト政党が新たに獲得している主な支持者は労働者層である。「ラストベルト」という言葉に象徴されたように、1970年代以降の製造業の衰退は、左派の金城湯池だった旧鉄鋼・炭鉱地域が、米トランプ支持へと流れる原因を作った。フランスの国民戦線(現在は国民連合へと改称)、スウェーデンの民主党、オーストリアの自由党など、西欧極右の最大の支持者階層は、労働者層だ。イギリスの労働党、ドイツの社民党からの労働者層の離反とポピュリスト政党への支持増も綺麗に相関している。 ドイツの思想家ベンヤミンは「ファシズム台頭の裏には必ず革命の失敗がある」と言ったが、つまりポピュリズム政治の成功は社民の凋落と表裏一体の関係にあるのだ。労働者層が左派政党に投票する割合を示す「アルフォード指数」は、1960年代以降、西欧では一貫して下落