津波で自宅も店も全壊し、震災直後はその日をしのぐことで精一杯だった。 先がまったく見えない状況の下で、数日後にやっと携帯電話が繋がったときには、200件以上もの安否を心配する着信やメールが入っていた。 店の再開は困難だった。何年かかるか分からない。しかし背中を後押ししてくれたのは、沢山のお客さんからの気遣いや励ましの声だった。 再開に向けて踏み出したご主人。 瓦礫を撤去した自宅跡に、新たに店を建て始めた。 始めはすべて自分の手で店を作っていたご主人だったが、2012年の春にはボランティアでプロの建築技師が住み込みで作業を手伝ってくれて、店づくりがどんどん進んで行った。 噂を聞きつけたボランティアの人々もたくさん手伝いにきてくれた。店の柱には津波を被った裏山の杉の木を使い、窓ガラス、テーブル等、わずかに残った店の一部は、丁寧に磨いて再利用した。 メディアにも何度か取り上げられ、新しい出会いも