東京・神宮前で35年間親しまれていた米国の現代芸術家キース・ヘリング(1958~90)制作の壁画が今月、惜しまれつつ姿を消した。壁画を描いたビルが老朽化で取り壊されたためで、壁画は今後、修復保存される。 ヘリングは、80年代の米国を代表するポップアーティスト。単純な線で人や動物を描き、カラフルな色使いで人気を得たが、31歳の若さで亡くなった。83年2月、ワタリウム美術館で日本初の個展を開催した際、向かいのビルをアトリエとして使用。その壁一面にスプレーを使って1日で絵を描いた。その後、1階は現代芸術家バリー・マッギーの壁画に変わるなどし、2階部分だけが残っていた。 ビルは今月上旬までに解体され、今は更地になっている。ワタリウム美術館の和多利浩一代表は「制作当時の写真や動画も残る貴重な作品で、これからは移動展示していければうれしい」と話した。壁画の保存過程を記録した映像は同美術館で開催中の「理