Dan氏のところには訳本が届いたようだが、私は原著しかもっていないので、それをもとに書く。したがって例によって、これは書評ではない(書評は2/25発売の週刊ダイヤモンドに書く予定)。 原著は2004年に出て大反響を読んだが、同じ著者のこれを上回る傑作、Black Swanが出たあと訳本が出たのは残念だ。本書の議論はBlack Swanで深められているので、1冊読むなら、そっちを読んだ方がいい。実は、本書は別の版元で最後まで訳したのだが、あまりにも訳がひどくて廃棄され、ダイヤモンド社でやりなおしたという経緯がある。 ここでは、1点だけコメントしておく。それは著者の議論のコアになっている素朴ポパー主義だ。ポパーについては、当ブログで私が批判すると、アマチュアから粘着的なコメントが来るが、もはや見捨てられた過去の哲学者であることは世界の常識だ。著者もそれを前提にしているのだが、彼はあえてポパ