東 浩紀 (あずま・ひろき) 1971年東京生まれ。批評家。東京工業大学特任教授。現代思想、現代社会論、サブカルチャー論など幅広く執筆中。1999年度サントリー学芸賞(思想・歴史部門)受賞。著書に『動物化するポストモダン』『ゲーム的リアリズムの誕生』『東京から考える』『コンテンツの思想』など多数。 「クール・ジャパン」とはなにか。それは、アニメやゲーム、ファッションなど、伝統的な日本の魅力からは離れた、しかし国際的に強い競争力をもっている現代日本の先端的なソフト産業について、政策的観点を加えて論じられるときに使われる言葉である。「コンテンツ政策」「知財立国」などと深い関連のある言葉だ。 海外でアニメやゲームが強いのはいまに始まったことではない。それがなぜ2000年代に入って、突然のように話題にされるようになったのか。その理由は、アニメやゲームの市場がいまや無視できない大きさになり、作品の