はじめに 京都議定書では、先進国の温室効果ガス排出量について拘束力のある数値目標が国ごとに設定され、わが国は1990年を基準として、第一約束期間(2008~2012年)に温室効果ガスの6%の削減が定められている。 しかし、わが国の温室効果ガスはむしろ増加(9・0%増)しており、特に、二酸化炭素は大幅に増加(14・0%増)しているのが現状である(2007年度温室効果ガス排出量)。 また、温室効果ガスの人為的排出量は自然の吸収量の約2倍に達しているため、濃度低減には50%以上の削減が必要であると言われている(IPCC第4次評価報告書)。つまり、6%の削減はほんの序の口に過ぎず、地球規模で見た場合、温暖化防止には50%以上の削減が求められるのである。 このような厳しい現状を踏まえ、本稿では、温室効果ガスの中でも最も排出量の大きい二酸化炭素について、大幅な削減に向けた低炭素型社会への転換の方向性を