生物体に取り込まれた物質の代謝速度を示す指標の一つ。体内に取り込まれた物質が排出あるいは代謝によって減少し,そのときの減少速度がその物質の体内量に比例している場合,最初にあった量が半分になるまでの時間をいう。たとえば,あるとき一度に100単位の物質を体内に取り込み,体内量が10日後には50単位,20日後には25単位,さらに30日後には12.5単位に減少するとき,この物質の生物学的半減期は10日であるという。この例のように短時間で取り込んだ物質に対しては排出速度の指標であるが,環境汚染の場合のように連続的に体内に取り込む物質に対しては蓄積速度あるいは濃縮の指標ともなる。体内に入った放射性物質からの放射線の防護を考えるうえで理論化された用語であるが,放射性でない通常の元素あるいは環境汚染物質にも適用できる。 →生物濃縮 執筆者:稲葉 次郎