「抱える」「解決する」力が失われつつある だからといって、望ましいことばかりだったとは言えない、とも私は考えています。精神医療の充実に加え、平成30年の間に私たちはハラスメントやいじめの対策を積み重ね、ブラック企業を取り締まり、過度の残業を撤廃するよう努めてきたはずなのに、(1)「精神的な疲れを感じていることが多い」や(2)「ストレスを感じる」と答える人の「生活定点」のパーセンテージはほとんど変わっていません。(3)「病院に行かずに健康相談できる人が身近にいてほしい」や(4)「家族での人間関係にストレスを感じる」のデータまで踏まえるなら、私たちは平成以前に比べてメンタルヘルスの問題を自力では解決できなくなり、家庭や職場や学校でも抱えきれなくなっているようにみえます。総じてみれば、個人や家庭や職場や学校からメンタルヘルスの問題を解決したり抱えたりする機能が失われてきているのではないでしょうか