過疎化が進む地方からしてみれば、贅沢すぎる悩みと思われるだろう。しかし、神奈川県にも産業空洞化の波は押し寄せている。「規模が大きければそれでよし」の時代は終わった。どんな経済圏を目指すのか――そのグランドデザインが問われている。 多摩川を挟んで東京に接し、横浜市・川崎市・相模原市と3つの政令指定都市を擁する神奈川県は、これ以上望むべくもない羨ましい環境──と、きっと誰もが思うだろう。しかし、神奈川県にとっては、東京と近すぎることが泣き所。意外なことに、神奈川県を本社とする大企業はほとんどなく、神奈川県の経済関係者は自嘲気味に「支店経済」と呼ぶ。 東京以外に本社を置くグローバルカンパニーと言えば・・・京都の京セラ、任天堂、大阪のパナソニック、シャープ、愛知のトヨタ自動車、広島のマツダ、浜松のスズキ自動車などがすぐに思い浮かぶ。これらの企業は、世界企業であると同時に、そのエリアの代名詞的な存在