11月8日夜、インド全土に衝撃が走った。 モディ首相は、テレビ演説で11月9日午前零時から現行の500ルピー(約800円に相当)紙幣と1,000ルピー紙幣が無効となる旨発表。この二つの高額紙幣は、インドで発行されているすべての紙幣の合計価値の86%を占める。わずか4時間後に市場に出回る現金の大部分が無効となるという大胆な政策により、インド経済は混乱に陥った。 筆者は、高額紙幣が廃止された2週間後にインドを訪問したが、インド国民はいまだ現金不足に悩まされていた。廃止された紙幣は年内には銀行で新紙幣と交換することができるが、新紙幣は不足しており、銀行では長蛇の列ができている。 インドの取引の大部分は現金決済に依存しており、国民の半数は銀行口座すら保有していない。このため、自動車販売が大きく落ち込むなど実体経済にも影響が出ている。日系の自動車企業も工場の稼働を休止したという。 現金の不足は、人々
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