母を亡くし、父と2人で今は空き家になっている父の生家に身を寄せたものの、そこで父も命を落としてしまい、草原の中の半ば朽ち果てた家で独り取り残されてしまった主人公の少女は、そんな辛い現実を空想で包むことで何とか生きていこうとする――みたいな書き方をすると、ちょっとした「一人ライフ・イズ・ビューティフル」なんですけど、まず冒頭が少女が父親のためにコカイン注射のご用意をするところから始まってて、母親の死因はドラッグのやりすぎで、父親の死因も勿論ドラッグのやりすぎで、人形の頭部を指にさして会話するのだけが少女の唯一の友達で、父親の死後やっと出会えた生身の人間は、剥製作りが趣味でそれもいつか生き返らせられると信じているキティーなおばちゃん(キティちゃん)と、その弟の知能に障害がある感じの男(頭部にロボがトミーした手術痕あり)だった、っていう。 「辛い現実を空想で包む」っていうより、この「現実」とやら