2010/10/137:0 円高は経済政策の失敗が原因だ(1) 片岡剛士 為替レート(円ドルレート)の円高が進んでいる。 サブプライムローン危機が顕在する直前の為替レートは1ドル=115円台であったが、世界金融危機が深刻化するにつれて円高が進み、2008年9月のリー マン・ショック時には107円となり、2009年11月には89円台となった。2010年4月には93円台まで円安が進むものの、その後はふたたび円高が 進み、10月8日には81円台に突入した。 そして、これらの政策は円高とデフレに悩む日本経済にはたして効力があるのか、関連する論点にふれながら考えてみよう。 ◇為替レートにまつわる議論の論点◇ 円高が進行する過程においてはさまざまな議論がなされたが、統計データや既存研究の知見に照らした場合に問題をはらむものが多い。まず事実認識について確認しておきたい。 ひとつ目は拙稿(「ドル安ではない