概 要 今回はIEEE830[1]に基づいてソフトウェアに関する要求仕様の標準的な構成例を紹介しよう。立命館大学の大西教授と山梨大学の郷助教授による「要求工学」[2]の第4章でもIEEE830が解説されている。 IEEE830では表1に示すように要求仕様を、目次、はじめに、要求仕様の一般的な説明、要求仕様の具体的な説明、付録、索引から、構成することを推奨している。 IEEE830 では、ソフトウェアをシステムの一部であるとしており、システムの要求仕様とソフトウェアの要求仕様を区別するためソフトウェア要求仕様( Software Requirements Specification)を略してSRSと記述する。これに対してシステム要求仕様をSyRSと略記する[3]。本稿ではSRSについて解説する。 表1 IEEE 830 による要求仕様の構成 SRS 第1章「はじめに」 「はじめに」ではSRS