→紀伊國屋書店で購入 「奇妙なほどモノが克明にみえる瞬間」写真集にはおもしろいと感じて、そのおもしろさがすっと言葉になるときと、時間のかかるときとがある。今井智己のこの写真集がそうだった。感じとっているものはたくさんあるはずなのに、そうでなければこんなに何度も見ないのに、それが何なのかがつかめない。心の印画紙はたしかに感光しているのに像を結ばないのだ。 写真は言葉より先の世界を目指すものであるから、こういう反応が生まれるのは写真らしい写真と言える。言葉よりもずっと先を走っている。「写真度」が高い。それなら無理して言葉にせずに写真を見て満足していればいいかもしれないが、言葉人間である私はそれではだめなのだ。自分の反応の仕組みをなんとか探ってみたいともがく。 まず写っているもののことから話そう。最初は崖の岩肌。つぎは針葉樹の森。地面に少し雪が残っている。そのつぎは松林で地面に雑草が生えていて、