遠くから見ると、かわいらしい猫の顔がアップで写った1枚の写真。手に取り、よく見てみるとギョッとする。「目が、目が……」。これは、現代写真家うつゆみこの写真集『はこぶねのそと』(アートビートパブリッシャーズ刊)のカバー写真である。中をめくると、芋虫やカブトムシやキノコ、魚の内臓たちが、なんとまあ卑猥な姿で登場する。一瞬ゾワゾワっと鳥肌が立ち、思わず目を背けてしまう人もいるというが、よーく見てみると結構笑ってしまう写真の数々。 うつゆみこが描き出すカラフルでキッチュな独特の世界は、ティム・バートンやジュネ&キャロのようなちょっと特殊なファンタジー、はたまたチェコのヤン・シュヴァンクマイエルのシュールな映像を彷彿させる。 一度見始めるとクセになる、キモカワ・エロのカオスを描くうつゆみこに、作品の作り方や物の見方、写真に込めた思いを伺った。 ──うつさんが描くのは、グロいんだけどちょっと笑ってしま