私、スズキとパリッコさんとで「酒の穴」というユニットを結成することになりました。 「酒の穴」とは、日常的な生活の中にぽっかりと現れる「今ここで乾杯できたらどんなに幸せだろう」と思うような場のことで、それは必ずしも居酒屋やレストランでなくてもいい。むしろなんでもない原っぱとか、川沿いの公園とか、観光地の売店だとか、そういったところに極上の酒の場があるのではないかと思う。 みなさんも、夏の暑い日に海の家で飲んだ生ビールが、どんな高級店で飲んだものより美味しく感じられた経験があるのではないだろうか。 ある時、東京でも有数の酒タウンである立石の名店で飲んでいた際に、相席になったスーツ姿の紳士が胸ポケットの中から手帳を取り出して見せてくれたことがある。そこには登山記録がボールペンでびっしりと書き込まれていた。毎月1~2回、手ごろな山を探しては一人で登山に出かけるというその紳士いわく、「このお店も美味
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