廃なるものを求めて廃なるもの、すなわち廃線跡、廃墟、その他うんぬん。写真作家の吉永陽一が朽ちていくものをじっくりしっとり、ときには興奮しながら愛でていく連載。 土地と土地の境界を示す境界標。標石とも呼びます。墓石を小さくしたようなその石柱は、国鉄では「工」印、都道府県名、省庁名など、その土地の所有組織の名称やマークが刻まれています。探索する施設の場所の特定に繋がるため、標石を目印とすることもあります。 「陸軍用地」と記載された標石は、旧軍の施設を探すときに道端で見かけ、軍施設の跡を調べるときの目印となります。陸軍の敷地は都心部にも数多くあったので、いまも人知れず、あるいは知っている人は知っている場所に、ひっそりと「陸軍」の文字が刻んだ標石が残されています。それが渋谷のど真ん中にあると言うと、にわかに信じがたいですよね。 それがまだ残されていました。2ヶ所の標石を紹介します。