和歌山県紀の川市の県農業試験場が、梅干しを作る際に排出される「梅調味液(漬け汁)」を利用して水田で雑草の発生を抑える方法を開発し、マニュアルにまとめた。 梅干しの産地である県内で、年間約1万トンが廃棄されるという液を活用することで、処理費用の節約も図れるという。 梅調味液は、味付け後に出る廃液で、糖分やクエン酸、塩分を含む。産業廃棄物として処理しなければならず、コストや処理場の確保が課題となっている。 試験場が開発した方法は、梅調味液に含まれる糖分などが水田内で微生物などに分解される際、土壌の表面が酸欠状態になって雑草の発芽を抑える仕組み。 マニュアルでは、田植え直後と、7~10日後の2回、10アール当たり300リットルの調味液を、拡散するように水田に注入することなどを指示している。 除草剤を使用した場合と比べると雑草の量は多くなるが、何もしなかった場合の3分の1程度に抑えることができる。