※月刊『Hanada』2017年6月号から転載。 ■日本品種の盗難、違法流出 世界で日本品種の農産物人気が高まっている。日本で開発された種子が輸出されて世界中で栽培され、食されているのだ。輸出額は2015年、150億円を突破。過去10年足らずで、1・5倍に急伸している。 その背景には長年、日本列島の四季折々に適する品種の多様性と日本人の繊細な味覚に対応する品種の開発力がある。それが各国で認められ、世界の農業、食文化に貢献するようになった。 輸出先はアジア諸国を筆頭に、EUや北南米、オセアニア、中東、アフリカまで全世界をカバーする。国別にみれば、アメリカではブロッコリー、インドではニンジン、フランスではカボチャなどの日本品種のシェアが高い。 こうした品種の開発を担っているのは、民間の種苗会社だ。サカタのタネやタキイ種苗など、世界トップ10に入るタネ会社を筆頭に、日本には数十社の専門企業が開発