まさにそうなんです。僕がこのブログで口酸っぱく自分の外のオルタナティブを見ないといけない、歴史に学ばないといけないと書いているのも「自分の生まれ育った環境に拘束されずに「他の暮らしを想像でき」るようになるためです。 農民と武士田中優子さんの書く本を読むと、まさに自分の生まれ育った環境の外にある他の暮らしを想像できるようになってきます。 たとえば、外にある他の暮らしといえば、僕らはきっと江戸時代の農民と武士を誤解しています。 農民はいいが、気の毒なのは武士である。自分が何のために生きているのか、わからなくなる。ただでさえ貧しいのに、出世に失敗するとさらに貧しくなる。『カムイ伝』は、農民や穢多が苦しくて武士は楽しい、という描き方をしない。階級内格差をしっかり見つめているのだ。江戸時代で階級内格差がもっとも甚だしかったのは武士階級だった。(中略)内部格差に比べれば、士農工商などお題目でしかない。