いわゆる「驚異の部屋」と呼ばれる、15世紀から18世紀にかけてのヨーロッパで流行した様々な珍品奇物を集めた博物陳列室に昔から興味がある。 だから、現在、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「ルドルフ2世の驚異の世界展」も観に行ってきた。 16世紀後半のプラハの宮廷には芸術や工芸の作品、天文学の道具や植物、動物などの自然科学にまつわるものなどが幅広く集められていた。その一部が公開された展示である。有名なアルチンボルドによるルドルフ2世の肖像画も出展されている。 そのルドルフ2世のコレクションについて、カウフマンが『綺想の帝国』で次のように述べるのは、あらためてなるほどと思わされる。 宮廷の蒐集のいくつかがときおり訪問者に公開されることはあっただろうし、ごく少数の一般人はルドルフ2世の蒐集のようなきわめて私的なものをも垣間みるようなことさえあったかもしれないが、皇族の芸術室や、と
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