プロスポーツ選手にとって、大きな故障によって試合に出られなくなるということ、あるいは引退するということは、自らのアイデンティティを失うことである。スティーブ・ナッシュ(ロサンゼルス・レイカーズ)にとって、それは突然、目の前に突きつけられた。 故障続きで苦しいシーズンを送ったレイカーズのスティーブ・ナッシュ NBA現役最高齢――40歳のナッシュだからこそ、ここ数年、自身の引退が近いことは意識していたはずだ。その一方、現役を続けるために最大限努力し、まだできるという自信もあっただろう。しかし、それが揺らぎ始めたのは、事故のような偶発的に起きた故障がキッカケだった。 昨シーズンの開幕2試合目、当時ルーキーだったダミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)のひざがナッシュの足に衝突。そのときは単なる打撲と思われたが、実際には腓骨(ひこつ)を骨折していたことが判明した。それでも当初は、数

