今朝の「朝日」の社会面トップには、佐野研二郎氏の東京オリンピックのロゴ盗用疑惑をめぐる大きな記事が載っていた。これを見た時、「われらデザインの時代」は終わったのだとつくづく思った。もちろん国立競技場のコンペ問題とあわせてそう思ったのだが。 「われらデザインの時代」とは、西武百貨店のロゴなどをデザインした田中一光氏の本の題名だ。そして彼が2002年に亡くなり、翌年に私が企画した田中一光回顧展の副題にこのフレーズを使った。1960年代以降、デザイナーが日本の社会を牽引したという自負心に満ちた言葉だからだ。 1964年の東京オリンピックは、亀倉雄策のシンプルなシンボルマークと丹下健三の国立代々木競技場の優美な建築が有名だが、会場の標識などのデザインを杉浦康平や田中一光、粟津潔、勝井三雄などの少し下の世代が分担している。 それからデザイナーも建築家も社会の先頭を走って行った。70年代からはこれにフ