【図1】最大に延伸された時点の善光寺白馬電鉄の路線。善光寺温泉~裾花口間が走ったのはわずか1年1か月に満たなかった。 長野―白馬の山間に浮上した鉄道計画 かつて東京から白馬村へ行くには、新宿から特急「あずさ」が定番だった。甲府、松本を経て大糸線を北上する。それが平成10年(1998)の長野オリンピックを前に北陸新幹線が高崎~長野間を部分開通して以来、ルートはまったく変わってしまった。長野まで新幹線、そこから白馬村まではオリンピックを機に見違えるように整備された道路をアルピコ交通のバスが1時間10分(長野駅東口~白馬駅)で結んでしまう。現在のダイヤでは北陸新幹線の「かがやき」に接続するバスで東京駅から約3時間。 現在の長野~白馬間のバス路線と経由地は異なるが、戦前にその名も「善光寺白馬電鉄」という名の私鉄があった。もちろんこの区間が開通することはなく、ごく一部【図1参照】が開通したものの、短