先月、芥川賞に選ばれた九段理江さんの「東京都同情塔」。 急速に広がる「生成AI」がテーマの一つで、記者会見では九段さん自らが「生成AIを駆使して作った」と語り、話題になった。 AIはどのように活用されたのか。そして、作品に込めた思いとは。 新しい時代の芥川賞作家が、AI時代の言葉について、語った。 (科学文化部記者 島田尚朗) 「東京都同情塔」は、日本の架空の未来が舞台。 主人公は建築家の女性で、「犯罪者は同情されるべき人々」という考え方をもとに、犯罪者らが快適に暮らすために新宿の公園に建てられた高層タワーをデザインした。 作中では、建築費がかさむなどとして実際には建てられなかった、イラク出身の女性建築家、ザハ・ハディド氏が東京オリンピックのために設計した新国立競技場が建設されていて、この競技場と高層タワーの対比が物語の一つの軸になっている。 主人公は、過度に寛容を求める風潮の広がりや、生
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