それははじめは同じもので、いつの間にか包含関係に、そしてついには別物になる。 もう少し詳しく書こう。はじまりは思春期、或いは、第二次性徴の頃。下半身が心を支配する時代である。その頃、好きになる異性とセックスしたい異性は未分化だった。否、むしろ下半身が反応する異性をこそ、好きになっていたのかもしれない。だから、この頃のオナニーは少なくとも自分の中では明確に「セックスの代替行為」だったように思う。きっと未知なる性交への過大なる期待が、性欲をただ無条件にセックスへと向かわせていたんだろう。だから、性欲とセックス欲が同じものだったというよりは、セックスを知らないために同じに思えていたということなんだろう。 「セックスの代替物」としての性情報に溺れ、世の多彩な性嗜好を知るにつれ、セックスは性欲を満たすための手段として「たくさんあるうちのひとつ」になり下がる。恋愛感情や最中のコミュニケーションでさえ、