年1000万人近くの死因となっているがんの研究はここ十年にわたり、世界的な協力が一段と進んでいる。米国立がん研究所の「ムーンショット」プログラムの中核を成すのは国際協力だ。2022年までに治療発見のペースを倍にしようと米政府が10億ドル(約1090億円)を投じるこのプログラムは、「がんに国境なし」がうたい文句の1つだ。 受賞歴もある免疫学者で中国から米国に帰化した呉氏は今年1月、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの公共衛生・トランスレーショナルゲノミクスセンターのディレクターをひっそりと辞めた。その前に、中国での同氏の仕事に絡んで3カ月間にわたり調査が行われていた。 米国の研究機関における中国の影響力増大に対抗するため、トランプ政権は対策を講じている。呉氏に続き、トップクラスの中国系米国人研究者3人も最近、ヒューストンにあるMDアンダーソンがんセンターを去った。米国のイノベーション(