2022年9月1日に財務省が公表した「法人企業統計調査」の結果によると、2021年度の日本企業の内部留保の額が516兆4,750億円と過去最高を記録しました(金融・保険業を除く全業種)。この調査結果についてどう考えるべきか、解説します。 内部留保とは何か日本企業の内部留保の額が500兆円を超え、過去最高を記録したことを受けて「企業が内部留保を貯め込んでいるのが問題だ」「賃上げなどによってもっと従業員に還元すべきだ」などといった論調が見られます。しかし、そのような問題意識は核心をついているといえるでしょうか。 内部留保というと、内部にお金を貯め込んでいるイメージを喚起します。しかし、正確には「利益剰余金」といい、利益のなかから法人税等を支払い、株主等への配当を行ったあとに残った金額が、複数年にわたって積み重なった総額をさします。実際にその額が貯め込まれているのではなく、あくまでも計算上蓄積さ