裁判を傍聴していると、「自暴自棄になってやった。」と犯行動機を語る者に出会うことが少なくありません。平井清(仮名、裁判当時52歳)もそのような動機で罪を犯した者の一人でした。 彼は中学卒業後、飲食店アルバイトなどの職を転々とし、事件当時は都内の蕎麦屋でアルバイトをしていました。蕎麦屋で働く前は生活保護を需給しながら更正保護施設で生活していました。彼は自分の働いていた蕎麦屋に閉店後に合カギを使って侵入し、現金358,000円を盗んだとして、建造物侵入と窃盗の罪に問われて裁判を受けていました。 店での人間関係は良好だったようです。合カギの管理を任され、金庫の暗証番号を教えてもらえるほどに信用を得ていました。ようやく施設を出て生活保護での生活から脱却し、アパートも借りて自立した矢先に彼は「自暴自棄になって」犯行に及んでしまいました。 「一人でいる時、将来のことなどを考えこんでしまっていつも不安を