海馬と扁桃体の記憶回路のつながりはシナプス増強がなくても強まる マウスにタンパク質合成阻害剤を投与しシナプス増強を阻害しても、小箱Bでの嫌な記憶に対応した海馬の記憶痕跡と扁桃体の記憶痕跡のつながりは強化される。 私たちの記憶は、記憶の固定化という過程を経て長期的な記憶に変化します。記憶は記憶痕跡と呼ばれる神経細胞群とそれらのつながりに蓄えられると考えられています。これまで、記憶が長期にわたって保存されるには、この記憶痕跡細胞同士のつながりを強めるシナプス増強が不可欠だとされていました。シナプス増強とは、神経細胞同士をつなぐシナプスにおいて、一方の神経細胞が活動するともう一方の神経細胞にも活動が起きることが繰り返されてシナプスのつながりが強まる現象です。しかし記憶の固定化プロセスで、記憶痕跡を形成する神経細胞群そのものに、どのような変化が起きているかは分かっていませんでした。それを解き明かす