解糖について少しだけ教科書的な記述をしてみます。 解糖の準備期には、2分子のATPが投入され、ヘキソース鎖が開裂されて2分子のトリオースリン酸になる反応があります。 この過程で、その中間体としてリン酸化されたヘキソースが中間体であることがわかったのには、少々の偶然がありました。 ブフナーの発酵実験、残された疑問 さて、教科書的な生化学史にもう少々お付き合いください。 1897年の論文でエドゥアルト・ブフナーは、酵母をすりつぶしてからろ過し、そこにショ糖を加えると発酵してアルコールが生じることを示しました。この無細胞系でのアルコール発酵の論文は、生化学における新しい時代のはじまりでした。 その当時の考えでは、酵素は生きた細胞が必要なものと必要でないものに分けられていました。そして、アルコール発酵に関わる酵素は前者に分類され、生きた酵母を用いないと研究できないと考えられていました。しかし、ブフ