谷口さんの監督デビュー作品はテレビアニメが放送開始する前年、「ジャンプ・スーパー・アニメツアーʼ98」で上映された『ONE PIECE 倒せ! 海賊ギャンザック』。『ONE PIECE』初のアニメ化作品だった。それから24年、ご自身の原点ともいえる作品に改めて触れて、どんな想いを抱いたのか。お話をうかがった。 取材・文=立花もも 写真=川口宗道 はじめて原作の第1話を読んだとき、谷口さんは“ジャンルありき”の描かれ方をしていないことに強い好感を抱いたという。 「テレビアニメの第1話は、ルフィがすでに海賊として海に出ているところから始まり、能力もわりとすぐに明かされますよね。これによって視聴者は、海賊が主人公の冒険譚、アクションものなんだなと理解し、安心して先を観続けることができます。だけど原作は、1話を読み終えてみないと、物語がどう展開していくのか、どんなジャンルとして受け止めていいのか、