2014-03-31 俺のタモさんがこんなにボーイズラブなわけがない ついにこの日が訪れた。テレビの長い歴史の中で、今日はきっと特別な一日になるのだろう。男はその渦中にいた。 三十一年と六ヶ月。日本の昼の顔として、男はその人気番組に司会者として立ち続けた。この国にその顔を知らない者はいない。ギネスにも載った。 『笑◯ていいとも』。今日、その番組は最終回を迎える。しかし、男には普段と比べて特別な感情などなかった。緊張も感じない。明日から少しばかり仕事が楽になるだけ。肩肘張らずに普段通りの自分で、最後の最後まで視聴者を思い切り楽しませればいい。男のトレードマークであるサングラスが鈍い光を放つ。 男の名前はタ◯リと言った。独特のコアな芸風や憎めないキャラクターで一般大衆はもちろん、マニアからも熱い支持を集める、日本を代表する芸人だ。 「本番一分前!」 ADの声が響き渡る。スポットライトの輝くスタ