ワールドカップが近づいたためか、サッカー関連の書籍が多数出版されている。サッカー界も出版界も不況下にあると言うが、ありがたい事だ。サッカーの人気が振るわないと散々言われているが、Jリーグが開幕して17年、すっかりと分厚くなったサッカー界ゆえ、結構多様な切り口の書物が目立つのもうれしい。 本書は、複数の日本代表試合の映像を、5人のイタリアのトップクラスのコーチ達に見せ、忌憚のない意見、批評、賞賛をまとめた構成。編集の主眼はイタリアのコーチらしく、多くは日本代表の守備、特に個人の守備戦術に着目し、(残念ながら)その拙さへの批判が主となっている。著者の宮崎隆司氏は、イタリア在住、幾度かサッカー批評などの媒体で作品を目にした事があったが、まとまった書物として読むのは、私にとっては初めてとなる。 これは、内容がありとてもおもしろい本だ。従来、的確に日本語化される事が難しかった「守備戦術」について、日