Introduction 2007年1月2日より東京都写真美術館で公開される『恋人たちの失われた革命』(2005)のプロモーションのために、フィリップ・ガレルが来日した。本作は知られる通り、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞に輝き、フランス国内はもとより世界各国で称賛を集めている。60年代後半以降の「実験映画」の時代を経て、序々に物語映画の枠へと回帰したガレルは、フォルムへの鋭利な感受性を少しも失うことなく、いままさに円熟の境地に達したかのようだ。豊かな経験に裏打ちされたガレルのショットにもはや「実験」や「前衛」の形容は似合わないけれど、ひとつひとつのショットには、常に瑞々しい発見があり、出会いがある。ガレルの作品は常に極めて具体的であり、一貫して「唯物的」なのだ。 この度のインタビューで実感したのも、まさにその「唯物性」である。なにしろ、あの美しいクロースアップについて質問すれば、ガレルは平