舞台は北陸の保守王国、石川県。現職最長となる7期27年目の 谷本正憲 ( たにもとまさのり ) 知事(75)は、コロナ禍に「無症状の方は石川県にお越しいただければ」と失言、「4人以下での会食」を呼びかけながら自身は90人以上で会食。永すぎた権力集中が招いた綻びか、仕える者は忖度の度合いを強め、為政者は傍若無人になっていく。そんな長期県政もついに終焉を迎えた。8選出馬に前向きに見えた谷本の機先を制したのは、谷本の選対本部長を務めていた衆議院議員の 馳浩 ( はせひろし ) 。新知事が掲げたスローガンは「新時代」。そういえば22年前、衆議院に初当選した馳が掲げていたのもまた「新時代」だった。 ムラの男たちが熱演する栄枯盛衰の権力移譲劇。ここ一番で必ず登場するのは、ご存知キングメーカーの 森喜朗 ( もりよしろう ) だ。いっぽうキャメラは、市井の生活者へも向けられる。同調圧力の強い社会で暮らす