2つの点で魅力的な案だった。誘われたのが僕で、誘ってくれたのが彼女だったからだ。それ以外は最悪だった。説教などしたくはないが、真面目に答えることにする。 「あのさ、みんなそういうの止めようって自粛してるんだよ。控えようとは思わないの」 「むしろ逆でしょう。明日までは"要請"で、それ以降は"命令"なんだから」 自由に遊べる最後の日ですもの、と言うので、僕は上司に休みをもらうと連絡した。 会うのは久しぶりだった。駅の東口、喫煙所で煙草を吸って時間を潰していると、向こうから彼女がやってきた。都合15分ほど待たされたが、特に申し訳なさそうな様子もない。自分を地軸か、グリニッジ天文台だと思っているのだろう。 我々はとりあえず全く人気のない元繁華街を歩き回り、そのゴーストタウンぶりを満喫した。スクランブル交差点で無意味にぐるぐる大手を振って回ってみたり、いつも行列の店に5分で入ったりした。 そういえば