自分しか信じられない男が行き着いた境地は-。法人税法違反容疑で逮捕された飲食店ビル「丸源ビル」のオーナー、川本源司郎容疑者(81)は一代で巨万の富を築いた立志伝中の人物だ。誰もがうらやむ成功を収めた大富豪だが、長年の知人たちは「とらえどころがなく、不思議な人間」と異口同音に語る。それでもエピソードや発言を手掛かりに探ってゆくと、成功に飽いた末に達観した「虚無主義者」としての顔が透けてみえる。 ■紙袋に札束、日本一の「現金」持ち まことしやかにささやかれるこんな伝説がある。 川本容疑者が紙袋に大金を入れて街を歩いていたところ、紙袋が破れて札束が路上に落ちた。しかし、川本容疑者は気づかない振りをして、そのまま歩き去った。「落ちた札束を拾うのは格好悪い。カネに執着はしない」。川本容疑者は、同行した友人にそう言い放ったという。 別の伝説もある。あるビルが落成した際、数百万円を用意してばらま