道徳性の発達と道徳教育 作者:ローレンス・コールバーグ,アン・ヒギンズ 麗澤大学出版会 Amazon 「ケアの倫理」を最初に提唱したキャロル・ギリガンの『もうひとつの声で』の批判対象として有名な……というか、哲学・倫理学界隈では「ギリガンに批判された人」というイメージしか抱かれていないおそれもある、教育心理学者兼哲学者のローレンス・コールバーグさんの本。 この本には1980年代にコールバーグが廣池学園(モラロジー研究所の関連機関)で行なった講演と、1971年に彼が執筆した代表的な論文(「道徳教育の基盤としての道徳性の発達段階」)などが収められている。講演に関してはモラロジー研究所や廣池千九郎へのヨイショ的な文言も差し挟まっていて、割り引いて読まなければいけない感じがある。また、別々の機械になされた複数の講演と論文とが収められているため、一冊の本のなかで同じ話題やトピックが何度も繰り返された