横浜トリエンナーレがいよいよ9月に開幕する。3年に一度の現代芸術の祭典のスタートとあって、関係者は盛り上がっているようだが、一般の関心は必ずしも高くないというのが実情だろう。芸術が前衛として時代の先端を切り開き、岡本太郎のような前衛芸術家が大衆的なスターになる――そんな時代はとっくに終わっていたのかもしれない。 横浜トリエンナーレ自体の内容については始まってみなければわからないが、いまのところそれよりも目立っているのが、横浜美術館で開かれている奈良美智展であり、東京都現代美術館で開かれている村上隆展である。さらに原美術館で開かれている森村泰昌展を加えれば、「自虐アート」の勢揃いといったところではないか。 そう、かつて彦坂尚嘉が指摘した通り、一種自虐的な戦略で世界のアート・シーンを制覇したのが、80年代の森村泰昌であり、90年代の村上隆であった。倒錯した日本、しかも、アニメのように空っぽで表