LaVoceOrfica 豆知識 別冊1【さまざまな音律と調律法について】 ラ・ヴォーチェ・オルフィカ 横尾 優 −純正の希求と神様の試練− 1.はじめに 現代、私たちが普通に使っているピアノやキーボードなどは、すべて「平均律」という便利な調律法で調律されていることはご存じですね。 ところがこの便利な調律法は、自然な倍音すなわち「感性」の音楽からではなく、大変人工的な「理論」から生まれたものなのです。このため、どのような調でも使える代わりに、すべての和音が少しずつ濁って(純正から狂って)いるのです。 この平均律は、昔から使われていたわけではありません。中世−ルネサンス−バロック−古典派など、現代を除くすべての時代にわたり純正な響きを用いた、様々な調律法が考案され用いられてきました。 こうしたことから、特に中世−ルネサンス−バロック時代の音楽を当時の様式で演奏しようとする、いわゆる古楽